【語ってみた。SP版】機動戦士ガンダム 第08MS小隊

作品概要

1996年にOVAとして発表されたガンダムシリーズ作品。全11話+特別編:ラストリゾートの全12話。
機動戦士ガンダムと同時期の地球での戦いを描いた外伝作品。”宇宙世紀”と呼ばれる本線ではアムロとシャアの存在する時系列の中の1作品ではあるが、関係性はそこまで強くないので、このOVAシリーズだけを見ても十分楽しめる作品です。

あらすじ(公式サイトより引用)

地球連邦軍のシロー・アマダ少尉は、ジオン公国軍との交戦の最中、敵のパイロット共々遭難してしまう。そんな敵のパイロットであるアイナ・サハリンと生還のために一時協力する事に。無事危機を脱した2人は名前を名乗りあって別れる。
その後、地球の第08小隊の隊長となったシローは、泥臭い戦場には似つかわしくない実直な理想主義を掲げて東南アジア戦線で戦い続ける事に。そんな中、ジオン軍の試作兵器【アプサラス】の存在を知った第08小隊はその破壊のために戦う事に。しかしアプサラスのパイロットは宇宙で出会ったアイナだった……

初ガンダムシリーズにもおすすめの1本?

先日ガンダム40周年企画が発表され、閃光のハサウェイのアニメ化や、ORIGINなどが注目されています。また機動戦士ガンダムNTの劇場公開も迫るという、本当に話題の尽きないガンダムシリーズですが、特に宇宙世紀と呼ばれる一連の作品群はどこから見たらいいのか、今からこの世界に入ってみたい人にはなかなか入口を見つけるのが難しいかもしれません。
そんな中で、もしかすると08小隊は一番見やすい宇宙世紀シリーズかもしれないと思います。そんな本作の魅力をポイントを絞って紹介します!

ポイント① ガンダム版【ロミオとジュリエット】

まずはガンダムシリーズの中でも非常に【恋愛】の要素が大きい点が、この作品の大きな特徴です。
もちろん他の作品でも恋愛要素はあるのですが、本作ではシローとアイナの2人の恋愛が、物語の結末に大きく影響するほどに恋愛の色が強いです。人を好きになった事で価値観のすべてが変わるような物語。ですが、好きな人が出来た事=考え方や行動順位が変わる理由としては十分に納得・共感ができるのではないでしょうか? ガンダムといえば様々な人物たちが織り成す群像劇なのですが、このシリーズに関してはシンプルに2人の物語であり、視点があまり動かないのでとても視聴しやすい内容だと思います。
加えて、シローとアイナが、地球連邦とジオンにわかれている=ガンダム版・ロミオとジュリエットという側面もあり、その本来であれば”結ばれるはずのない2人”という関係性も、この先がどうなるんだろうという視聴意欲に繋がります。禁断の恋、というのはどうしても燃え上がるものだなと改めて。

ポイント② ”泥臭いリアルな戦場”と”青臭い理想主義”

前述のように、恋愛要素・恋で変わる物語、という事で、ストーリーラインでいえば”理想主義”的なお話になります。
元々主人公のシローは、戦場にいながら「部下を殺させない」であったり、とても理想主義的な発言や、部下から失笑されてしまうような正義感を軸に戦っていく人物です。このシローの考え方や行動が、あまりにもリアルな戦場と噛み合っていなくて、そこが大きなコントラストになっているのが本作のもう一つの特徴です。
戦場・背景に関してはシリーズでも屈指のリアルに寄せた設定だと思います。宇宙世紀でいえば戦場は宇宙、兵器にはビーム、そしてニュータイプと呼ばれる特別な人々など、SF要素が沢山ありますが、08MS小隊の舞台は、地球上・ジャングルや市街地など実際の戦場のイメージに近く、兵器も実弾兵器を中心とした SF<ミリタリー な印象です。現実にも重なってみえるその設定は、戦場の生々しさやリアルを感じさせてくれます。そこで展開されるからこそ”シローの理想”が、強烈な違和感であり、際立って感じられます。こうして「現実」と「理想」という対比を、「舞台設定」と「キャラクター」で展開させていく面白さがこの作品の大きな魅力になっていると考えます。

シローが甘ちゃんという印象で、発言であったりが恥ずかしくて見れない、という声もあったりするのですが、それも戦場のリアリティが他の作品と比較しても高い分、キャラクターの甘さが際立つのかなぁと思ったりもします(他のガンダム作品でも、主人公は結構”理想主義”になる印象はあります)

ポイント③  歴代でも最高にカッコいい、グフ・カスタム

作中でも屈指の人気を誇るキャラクター・ノリスの機体が「グフ・カスタム」です。
ジオン軍のエース、グフ・カスタムが活躍する戦場シーンはガンダムシリーズでも屈指の泥臭さで、それまで理想だけだったシローの「我」が出る部分、そして田中公平先生の神BGM(Ⅶ)も含めて、本当に名シーンです。独特のヒートロッドの使い方、機体を盾に取った弾丸のリロードに、まさかの結末を迎える最後の立ち合い。このエピソード【震える山】の存在だけでも、08MS小隊を見る価値があると言っていいレベルです。因縁としても、アイナ様に忠誠を誓う軍人であるノリスと、アイナの想い人であるシローの戦い、という点でも非常に熱い戦いです。
エースパイロットの凄さ、ガンダムシリーズのグフの価値を高めたのはこの作品のグフ・カスタムであるのは間違いありません。

★まとめ 宇宙世紀のガンダム作品の入り口として

群像劇が多いガンダムシリーズの中で、シローとアイナの2人から視点がずれないので、非常に見やすいガンダムです。話数も短く見やすいシリーズながら、ガンダムらしい戦闘シーンの熱さや面白さを体感できます。NT(ナラティブ)や閃光のハサウェイなど、宇宙世紀のシリーズもまだまだ続きます。何か宇宙世紀の作品の入り口を探している人にこそおすすめしたい見やすいガンダムです。

おまけ・機動戦士ガンダムNTも楽しみですね

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貫田 雅剛

ラジオのパーソナリティー・プランナーやイラストレーターとして活動中。RCCラジオ・ラジプリズムの部長。ラジオのこぼれ話から、アニメのリアルタイム雑感、イラスト描いたりWeb作ったり、イベント考えてみたり、そんな色んな情報や、日々のあれこれなどを”なるべく”毎日更新したいと思います。