【語ってみた。】殺戮の天使
作品概要
連載型ゲーム配信サイト「電ファミニコゲームマガジン」で2015年8月から2016年2月まで連載された、真田まことによる探索ホラーゲームです。マルチメディア化され、様々な入口のある作品ですが、特にゲーム実況動画によって知名度を格段に上げた印象もあります。ネット動画時代のヒット作品です。
あらすじ(公式サイトより引用)
ビルの地下の最下層で目を覚ました13歳の少女、レイチェル。 彼女は記憶を失っており、自分がどうしてここにいるかさえ分からずにいた。 ふらふらと地上を目指し、ビルの中をさまよう彼女の前に現れたのは、顔を包帯でおおい、死神のようなカマを持った殺人鬼ザック。 「お願いがあるの お願い、私を殺して」 「一緒にここから出る手助けをしてくれよ。そしたらお前を、殺してやるよ」
2人は奇妙な絆を深めながら、協力し合ってビルからの脱出を目指していきます。ビルのフロアにはそれぞれに問題しか抱えていない殺人鬼の姿が。果たして2人の迎える結末とは――
この作品の魅力を、ポイントを絞って紹介します^^
ポイント① 絶対にカップル成立しないはずの禁断の関係
殺してほしいという感情を失ったような無表情のヒロイン・レイチェルと、殺す約束を交わした包帯グルグル巻きで大鎌を構えた殺人鬼のザック。ビルから出たいザックと殺してほしいレイの互いの利害が一致する形で、誰一人まともな人物のいないビルからの脱出へと突き進みます。その中で起こる関係性の変化、本来であれば絶対に惹かれあうはずのない禁断の関係の中で、2人の間に生まれていく妙な絆が殺戮の天使の大きな魅力の1つです。ロミオとジュリエットなど、絶対に結ばれない禁断の恋は魅力的な物語の古典ですが、本作の関係も恋とは違うかもしれませんが、そういった禁断の関係に通じるものがあると思います。鎌ドンの破壊力にニヤニヤします。
ポイント② なぜレイは殺されたがっているのか?
主人公のレイは記憶がなく、なぜこのビルにいるのかわかりません。レイの過去に何があったのか、そしてどうして殺されたがっているのか。ここが作品のキーポイントになってきます。謎解き探索ホラーですが、ビルに仕掛けられた謎と、キャラクターの過去をめぐるストーリーの謎という2つの謎が物語を引っ張ります。襲い来る殺人鬼たちも色々な謎を有しており、結果最後は一番まともだったのザックだったんじゃないかと思うくらい、まともな人がいません。
ポイント③ ENDINGが秀逸、解釈が割れるラスト
「私を殺して」で始まったストーリーのラストはゲームでもアニメでも、とても印象的ですが答えがぼやけている作品です。レイを殺したとも殺さなかったともとれるエンディングであり、これが殺戮の天使の最大の魅力だろうと思います。見終わったときにどういう風に感じるのか、約束をどういう形で守ったのか、裏切ったのか、同じように作品を終えた人と考察できる余地がある作品です。
★まとめ ホラーだけでない、普遍的なテーマも根底に流れているヒット作品
ゲーム実況などから人気を博した探索ホラーゲームのマルチメディア化。インパクトの強い設定キャラクターですが、根底にある”愛”の考え方など普遍的な魅力も持つヒット作品です。